Special 2025.03.28 UP 【Hollywood Report】ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ カナダ支社のバンクーバー・スタジオで大規模レイオフ 鍋 潤太郎 / Inter BEEニュースセンター ロサンゼルスのバーバンクに鎮座する、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオの本社 〇はじめに ハリウッドの各メディアが報じたところによれば、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオは3月初頭、カナダ支社にあたるバンクーバー・スタジオで、大規模なレイオフを実施した。 解雇された人員は300人規模になると見られ、昨年のドリームワークス・アニメーションのレイオフに続いて、かなり規模の大きなレイオフとなった。 〇動画配信向け長編アニメーション制作拠点での人員削減 ロサンゼルスのバーバンクにあるウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ本社(写真)では、全世界の映画館に配給される劇場公開用の長編アニメーションを制作している。 一方、今回レイオフが実施されたカナダ支社のバンクーバー・スタジオは、ディズニープラスで配信するための長編アニメーションの制作拠点として、2022年にオープンした。 米報道によれば、今回のレイオフの主因は、ディズニープラス向けに配信する事を前提に制作予定だった長編アニメーション作品数本の企画が白紙となり、その余剰人員を削減する為、苦渋の選択を迫られる形になったのだという。しかしながら、カナダのスタジオ自体は閉鎖には至らず、レイオフに留まったのは不幸中の幸いと言えるかもしれない。 ちなみに、カナダのバンクーバー・スタジオが最近手掛けた作品には、映画『モアナと伝説の海2』(2024)がある。この作品は元々ディズニープラス向けに開発が進められていたが、制作途中で動画配信向けから劇場公開作品へと『格上げ』となった経緯があり、結果的に同作は世界的な大ヒットへと繋がった。 バンクーバー・スタジオでは、その後に続くディズニープラス向け長編アニメーション作品数本が企画されていたが、過去数年間に渡り開発が進められてきた、映画『プリンセスと魔法のキス』の登場人物ティアナを主人公にした新シリーズの中止が決定。また、並行して企画中だったディズニープラス向け長編作品の企画開発も白紙に戻された。これらの方針転換によって、当面は同スタジオで大規模なプロダクションを維持する必要性が無くなった事から、やむを得ず今回のレイオフに踏み切ったのだという。 〇コンテンツビジネスの難しさ ディズニーには、過去の歴史の中にも、類似した辛い出来事があった。ピクサー作品の短編アニメーション映画の制作拠点として2010年にピクサー・カナダをバンクーバーに新設していたが、2013年に閉鎖した経緯がある。 最も、この当時はディズニープラスが未だ無く、米アマゾンでの販売が主であった。現在は動画配信サービスが台頭し、ビジネスモデルも大きく移り変わっているが、コンテンツビジネスの展望や市場のニーズを先読みするのは、非常に難しくなってきている。 今後の動向からは、ますます目が離せない、今日この頃である。 記事一覧へ 前の記事へ