Inter BEE 2021

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Special 2023.05.31 UP

【Inter BEE CURATION】旅行業界の広告費から見る、コロナ禍からの復活【20年~22年広告出稿動向】

VR Digest編集部 VRダイジェスト+

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※INTER BEE CURATIONは様々なメディアとの提携により、Inter BEEボードメンバーが注目すべき記事をセレクトして転載するものです。本記事は、ビデオリサーチ社の協力により「VRダイジェストプラス」から転載しています。
【この記事はこんな方にオススメ!】
✅ コロナ禍を経た、旅行業界のトレンドを知りたい方
✅ 広告宣伝費や広告の出稿動向を調べたい方
✅ テレビCMやデジタル広告業界に携わる方

コロナで大打撃を受けた旅行業界

2020年初頭に出現した新型コロナウイルスに起因する「外出控え」は、皆さんご存じの通り、旅行業界に大変大きなダメージを与えました。

国土交通省が2021年に発表した「国土交通白書2021」によると、旅行業における予約状況は緊急事態宣言が発出されていた2020年5月は前年同月比でなんと99%もの減少幅を記録。
Go Toトラベル事業の効果等で11月は前年同月比+18%まで回復したものの、2021年1月には89%減少と、非常に大きな影響を受けていました(※1)。

あれから3年。

2023年のゴールデンウィークは国内外問わず観光や自然探索、ショッピング等を楽しんでいるニュースが多く報じられました。また、外国人観光客の数もだいぶ増え、コロナ禍前の風景を取り戻したように感じた方も多いのではないでしょうか。

本記事では、ビデオリサーチグループが24時間365日全国で収集しているデジタル広告とテレビCMの統計データベース「digiads」「テレビ広告統計」を用い、広告の出稿量という観点からコロナ禍における旅行業界の動向を調査。同業界の"復活"状況を確認していきます。

23年1月は2年前の3.4倍!ネット広告費は22年度後半に急伸

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【図1】は旅行関連のネット広告(バナー広告、動画広告、画像&Text広告)推定広告費を20年4月~23年3月までの3年間で月別に並べたものです。
水色が20年度(20年4月~21年3月)、青色が21年度、紺色が22年度を示しています。

まず、水色/青色/紺色の3エリアで俯瞰してみると、やはり20年度<21年度<22年度と段々と出稿金額が増えていく様子が窺えます。

もう少し細かく見ると、21年は東京五輪開催直前の7月8日まで東京五輪が無観客試合となるかどうかが決まらなかったこともあり、国内外問わず旅行需要が膨らむ期待も大きかった時期でした。結果的には無観客となってしまいましたが、7~8月には一時的に出稿額が増え、波が起きていることがわかります。
そしてその反動からか、秋はしりすぼみに。年明けに多少回復しましたが、20年度並みの低水準にとどまりました。
22年3月からは、外国人の受け入れが少しずつ再開されていくにつれ、広告出稿も盛り上がりを見せ、23年1月は2年前の3.4倍もの出稿額に。多くの月で前年同月を上回り、回復傾向となっています。

ネット広告は、直前での出稿取りやめや、期間中の出稿停止などが他媒体と比べ対応しやすいこともあり、GoToトラベルキャンペーンの途中停止や外国人の受け入れ状況に応じ、広告出稿も事あるごとに小まめな変動が起きていたと考えられます。しかし、22年度後半の出稿状況を見ると、「出稿控え」をやめた企業が増えてきているのではないかと推察できます。

「出稿控え」はもう終わり?旅行サイトA、海外観光局Bの事例

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そこで【図2】では、旅行プランの比較ができる「旅行サイトA」、そして日本人をはじめとする海外在住者を自国に観光誘致する「海外観光局B」の月別ネット広告費推移を見てみました(※2)。

「旅行サイトA」に関しては1回目の緊急事態宣言が発出された20年4月以降、22年1月まで出稿がストップ状態に。外国人の一部受け入れが噂された22年2月から少しずつ出稿をはじめ、外国人観光客の受け入れが決まった22年6月以降、一気に出稿量を増やしています。ですが、当初は訪日需要にあまり盛り上がりがなかったこともあってか22年9月には再び出稿が小康状態に。卒業旅行やゴールデンウイーク前の予約シーズンでもある23年2月から再び出稿が開始されています。

他方、「海外観光局B」は毎年5月ごろと11~12月ごろにまとめて広告を出すというメリハリのあるキャンペーンの置き方をしています。
20年11~12月は国内主体ながらGoToキャンペーンが行われていたこともあってか、大きく出稿を伸ばしましたが、外国人の受け入れが停止されていた21年11~12月は「出稿控え」をしていたと思われます。そして22年11~12月、出国及び入国の制限がなくなったことからか、一気に出稿攻勢となりました。
この流れを汲むと、同局は23年5~6月も一定以上の出稿を行うのではないかと予想されます。

テレビCMも回復基調

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続いて、テレビCMの出稿動向も確認してみましょう。【図3】は、ネット広告同様にテレビCMの出稿推移を月別に並べたものです(単位:秒/地区:関東)。

テレビCMはブランド想起や情報認知の役割を担うことも多いためか、ネット広告ほどはコロナ関連の政府決定に敏感に反応した動きは見せていません。ですが、全体として水色の20年度/青色の21年度/紺色の22年度の3エリアで俯瞰すると、やはり20年、21年と比べ22年は出稿量が大きく増えていることがぱっと見でもよくわかります。

特に23年3月は前年同月と比べると4倍近い伸び(383%)を示しています。前述のとおり、今年のゴールデンウィークの賑わいから世間的にも「コロナ禍は完全に終わった」と印象づいた人は多いと思われ、今後さらなる旅行業界"復活"の大きな後押しとしてテレビCMを活用する企業も増えていくのではないでしょうか。

今後の旅行業界における広告出稿動向は・・・

今回、旅行業界にスポットを当て、広告出稿量の推移について事例を交えて紹介しました。
ビデオリサーチグループでは、常時収集・提供しているネット広告およびテレビCMの統計データベースを用い、特定業界/カテゴリにおける広告出稿動向をまとめた「広告出稿量レポート」を提供しています。

今後の旅行業界の広告出稿動向や、他業界での動向をお知りになりたい方は以下よりお気軽に資料ダウンロード/お問合せ下さい。

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【本記事で紹介したサービス】
・サービス名:ビデオリサーチインタラクティブ「digiads」(ネット広告)、ビデオリサーチ「テレビ広告統計」(テレビCM)
・調査時期:2020年4月~22年3月
・対象地区:ネット広告=全国、テレビCM=関東


※1 出典:国土交通省「国土交通白書2021」
第1節 社会の存続基盤の維持困難化 ■2 観光業への深刻な影響 内
図表Ⅰ-2-1-8 より抜粋
https://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/r02/hakusho/r03/html/n1212000.html

※2 本結果はビデオリサーチグループにて収集した広告情報を基にした推定値となり、実際の出稿結果とは完全に一致しない場合があります。

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