Inter BEE 2024 幕張メッセ:11月13日(水)~15日(金)

本年の来場事前登録が完了していないか、ログイン有効期限が切れています。

2024年来場事前登録はこちら 2024年来場事前登録済みの場合はこちら

本年の来場事前登録のアンケート回答が済んでいません。アンケートのご回答をお願いします。

アンケートに回答する
キャプション
Special 2019.10.22 UP

【INTER BEE CONNECTED 2019】企画セッション「放送コンテンツの海外展開 次の一手は配信か?」事前レポート

IMG
(左から)佛教大学・大場吾郎氏、テレビ朝日・岩田淳氏、東京放送HD・薄井裕介氏

INTER BEE CONNECTEDでは昨年も海外展開をテーマにしたセッションを開催した。各局の海外展開の担当者に集まってもらい、その現場をリアルに語ってもらうものだった。そこで今年は昨年のセッションを受けて、その次の一手を探る。昨年はモデレーターだった佛教大学の大場吾郎教授に今年はパネリストに回っていただく。また海外展開部門ではないが、放送全体を見渡す広い視野で海外動向にも詳しい、東京放送ホールディングスの薄井裕介氏にも登壇いただく。モデレーターはテレビ朝日の岩田淳氏だ。10月のある日、岩田氏の呼びかけでセッションの顔合わせが行われたので、その様子を紹介しよう。
(コピーライター/メディアコンサルタント 境治)

海外展開のNEXT STEPを探るセッションに

IMG

打合せではまず、モデレーターの岩田氏が進行案のたたき台を説明した。海外展開の現状を確認した上で、海外に配信を実施するための要件を挙げていく。その要件を満たす際に立ちはだかる壁が何かを議論する。最後に実現へのロードマップを仮想でいいので議論してみたい、というのがモデレーター岩田氏の考えだった。
海外展開については、日本のテレビ局は遅れていると言われてきた。だがこの10年ほどの間の各局の努力で、急成長分野となっている。またパッケージ販売だけでなく、フォーマット販売やリメイク権の販売など新しい分野のセールスも活況を呈してきた。
ここまでのフェイズを評価しつつ、次のフェーズへと進むべきタイミングではないか、というのがこのセッションの趣旨だ。

目まぐるしく動く海外の事情をお二人にたっぷり聞く

IMG

打合せを取材して感じたのは、大場氏と薄井氏の海外動向の知識の広さだ。
大場氏は「テレビ番組海外展開60年史: 文化交流とコンテンツビジネスの狭間で」という書籍を2017年に出しているが、日本コンテンツの海外展開は氏のメインテーマであり、その知識は奥行きが深い。
一方、薄井氏は海外展開の専門部署ではないが、海外動向に精通している。TBSグループ経営陣のアンテナ役と言われる薄井氏だが、日頃の業界ウォッチングの範囲に海外動向も重要な要素として入っているようだ。中国などアジアから欧米まで幅広くキャッチしている。

IMG

例えばイギリスではBritBoxというVODサービスがはじまっている。これは公共放送であるBBCと、民放であるiTVが共同で立ち上げたサービスだ。Netflixがヨーロッパにやって来ると、イギリスのテレビ局は番組を供給するだけだった。だが少なくともイギリス人は、イギリスのコンテンツを見たがる。であれば、BBCとiTVが組んで配信サービスをやってもいいのではないか、との発想で生まれたという。
また中国ではいま、配信が大きく成長している。代わりにテレビ放送の凋落が激しく、数年間で市場が著しく縮小してしまった。少し前まで配信ではローバジェットの番組が多かったが、今はそう侮ってもいられなくなっている。一方で、配信が影響力を持つと当局が監視の目を向けるようになった。日本が相手にするには非常に難しい要素がある。
打合せでは、そんな風に我々がなかなか耳にしない海外のメディア情報、コンテンツ産業の動向がビシバシ出てきた。当日も、お二人の知見を吸収することが楽しみだと期待した。

日本にとって「配信」は次の一手となるか?

IMG

さて、では「配信」は日本のテレビコンテンツの次の一手になるのだろうか。欧米であれアジアであれ、配信にダイナミックな動きがあるのは間違いない。確かに、そこには次の一手として注目できるウェーブのようなものがあり、その波に乗れば日本コンテンツの海外展開が一気に進む可能性はあるように思える。
だが動きがダイナミックな分、状況が目まぐるしく変わる不安定さも拭えない。典型が中国で、巨大市場であるのは間違いないが、アメリカとの関係悪化など日本との関係に余波が来る動きが次々に起こる。落ち着いてビジネスをするのは難しそうだ。
また配信で打って出るにしても、日本国内でもまだまだ未整備な面が多い。国内ではTVerのような配信サービスが定着してきたが、置かれている番組を海外でも配信するとなると、また新たな議論を権利者などとする必要もある。Netflixのようにスピーディな展開は到底無理だろう。
しかしそうも言ってられない気もする。日本のコンテンツを海外にどう展開するのか。考えていくと、配信を武器にしていくことに自ずからなるのではないか。
このセッションではそこに結論を出すものではないが、海外動向に詳しいお二人に議論してもらうことで、具体的な可能性を見いだせるかもしれない。INTER BEE CONNECTEDのセッションの中でも注目すべきテーマだと思う。
すでに聴講予約は始まっているので、下の関連リンクを押していまのうちに予約してもらいたい。大場氏と薄井氏が、幕張でみなさんをお待ちしている。

IMG
  1. 記事一覧へ